PeerCast の紹介
PeerCast は P2P 機能を備えた最新のオーディオ・ストリーミング用ツールです。これを使えば、一般家庭用のインターネット回線で自前のインターネットラジオ局の開設が可能になります。高額な費用や特別な労力をはらわずに、いくらでも多くのリスナーから同時接続を受け付けることができます。ソフトウェアは www.peercast.org から無償でダウンロードできます。 もうちょっと詳しい解説 オーディオ・ストリーミングの簡単な歴史 オーディオ・ストリーミング自体は既に長く使われてきた技術です。まず最初にインターネット上で普及したのは Real Audio などのストリーミングサーバ製品でした。しかしながら、ストリーミングサーバ製品は非常に高価で、実際にインターネット上でオーディオやビデオをストリーミングできるのは充分な資金を持った一部の人だけに限られていました。 1990年代後半になると、サウンド・フォーマットの選択肢に MP3 が急浮上してきました。MP3 は Real Audio とは違い、圧縮アルゴリズムが公開されており、ドキュメントが入手可能だったのです。MP3 で高ビットレートのデータの共有を始める人がいる一方で、ダイヤルアップ経由の低ビットレート・ライブ・ストリーミングの可能性に気付く人もいました。 1997年、イカレたスコットランド人が彼自身が作成し、mp3serv と名付けたサーバプログラムを使って放送を開始しました。さらに IRC 経由で大量のしつこい要求が彼に寄せられた結果、クリスマスの日にこのプログラムは公開され、Linux の動く PC を使って、MP3 ライブストリームのラジオ放送を世界に向けて流すことが初めて可能になったのです。ただし、プログラムは無償で誰でも入手できたものの、使うには多くの知識を必要としたため、実際に使うことができたのはごく一部の人たちだけでした。 この状況は約1年続きましたが、ある日、人気オーディオプレーヤ WinAmp の開発者たちが WinAmp 用の MP3 ストリーミングサーバ ShoutCast を作り、発表したのです。mp3serv 同様無償で手に入り、しかも簡単にインストールできて、数多くのプラットフォーム上で動く ShoutCast の登場はマイクロキャスティングにとって大いなる第一歩でした。 WinAmp と ShoutCast を使った放送はとても簡単でした。WinAmp 用の小さなプラグインをダウンロードし、接続するサーバを指定するだけです。これでインターネット上のどこからでもあなたの WinAmp から放送される内容を聴けるようになったのです。 マイクロキャスティングの可能性に気付いたたくさんの人たちがマイクロキャスターとなり、まるでホンモノのラジオ局のように、お気に入りの音楽などを始終放送するようになりました。このようなラジオ局は今でも数多く http://www.shoutcast.com で見つかりますが、米国における法的問題のため閉鎖したところもあります。 トラフィックの問題 上記の法的な問題のほか、無償の ShoutCast や IceCast (オープンソースのストリーミングサーバ)などを使ったオーディオ・ストリーミングには、それでも多くの費用がかかるという問題が残っています。ストリーミングサーバが行う送信方法自体ではなく、データの配信方法に問題がりました。それは、新たなリスナーが接続するたびに、ストリーミングで使用するネットワーク帯域が増加してしまうことです。これは特に音声の品質を重視する人たちにとって非常に高くつくことになります。試しに計算してみましょう。たとえばあなたが 128Kbps(非常に良い音質です)のビットレートで MP3 による放送をするとしましょう。ところが、このビットレートでたった1人のリスナーが1日接続し続けるだけで1.3ギガバイトを越えるトラフィックとなり、1ヶ月では40ギガバイトにもなってしまうのです。あなたが運営するラジオ局に平均10人のリスナーが接続しているとすれば、毎月400ギガバイトのトラフィックです。一部の恵まれた人(あるいは学生さん :-? )を除き、普通の人がこれほどの費用を負担しきれるものではありません。たとえば有名ストリーミングサイト Digitally Imported の場合、帯域を寄付してくれる太っ腹な ISP 数社の支援があるため存続できているのです。 PeerCast 誕生の理由 PeerCast は基本的に ShoutCast や IceCast などと同じストリーミングサーバです。インストールすることで音声のストリーミングが可能になり、他の人たちがストリーミングを受信できるようになります。しかし PeerCast は P2P 機能を備えているという点が、そのほかのストリーミングサーバと大きく違います。P2P とは "Peer to peer" を意味し、非中心的なネットワークで相互に接続され、全体として大きな一つの機能を実現するアプリケーションを指す言葉です。ShoutCast や IceCast は伝統的なクライアント/サーバ型の設計で、一つの中央サーバに多数のクライアントが接続します。一方、PeerCast のネットワークでは個々のホストすべてがクライアントであると同時にサーバとして動作します。 さてこれはどういうことを意味するのでしょう?あなたがストリーム/ラジオ局/チャンネル(三つ目は PeerCast 用語です)に接続すると、あなたが動かしている PeerCast は要求のあったストリームを受信するために別の PeerCast へ接続します。このとき接続する相手は オリジナルの発信者である必要はなく、そのチャンネルの単なるリスナーかもしれません。つまり、あなたがどこかのチャンネルを聴くということは自動的にあなた以外の PeerCast ユーザとチャンネルを共有することを意味します。 わかんなくなってきましたか?心配ご無用。実際にやってみると、話で聞くよりはるかに簡単です。この方法はインターネット上でオーディオ・ストリーミングを分散させるための、極めて先進的で新しいアプローチなのです。この方法が成功を収めるまでにはまだしばらくの時間が必要でしょうが、そのあかつきにはきっとみんながより幸せになれることでしょう。 私はストリーミングを聴きたいだけです。そんな私が PeerCast を使うメリットは? あなたが shoutcast.com へ行ってそのリストの中から放送を選びたいだけ、というのなら、確かに PeerCast を使うメリットはないでしょう。ただしあなたは PeerCast の優位性に気が付いていないのかもしれません。単なるリスナーとしての立場から見ても、PeerCast には豊富な選択肢という大きなメリットがあります。PeerCast なら貧弱な 56Kbps の回線を使って大勢のリスナーを相手に放送することだってできるのですから。もちろんその中にはあなた自身も含まれています。 放送をしたいのだけど、そんな私が PeerCast を使うメリットは? もし PeerCast を使わずに放送しようとすると、そのシステムは高価で難しいものになります。まずインターネットに常時接続されたレンタルサーバを確保しなくてはなりません。次に ShoutCast などのストリーミングサーバをダウンロードして、設定する必要があります。さらに最悪なことには、ストリーミングのリスナーが発生させるインターネット・トラフィックにかかる多額の費用を支払わなければなりません。他に、自宅からストリーミングするという方法もありますが、一般家庭用の回線で上りトラフィックに確保できるのはせいぜい128か256Kbpsの帯域です。高音質のストリーミングを行うとわずか4人のリスナーしか受け入れることができません。 そこで PeerCast の登場です。自宅のマシンに PeerCast をインストールして ShoutCast や IceCast を使うときと同じようにストリーミングするだけで、いくらでも多くの人があなたの放送を聴けるようになるのです。たとえあなたが使用する回線の上り帯域が狭くても、あなたの放送を聴くすべてのリスナーが、あなたのチャンネルを中継してくれるため、ちゃんと動作するのです。実際、あなたが動かす PeerCast に1人が直接接続するだけで、数千の人々があなたのストリーミングを聴くことが可能になるのです。素晴らしいでしょ。 既に ShoutCast/IceCast/その他を使って放送をしています。そんな私が PeerCast を使うメリットは? 幸いなことに PeerCast は従来のストリーミング・システムと共存が可能です。事実、あなたが他のストリーミングサーバを使って行っていたのと同じやり方、そして多くの場合同じソフトウェアを使って PeerCast による放送ができます。一気にすべてを PeerCast に移行してしまうのはやり過ぎにしても、従来のストリーミングを PeerCast にも送る設定を行い、従来のストリーミングと P2P 方式を同時に動かすことでトラフィックの軽減ができます。PeerCast は接続数の上限がまだ低いのですが、将来的には既存のストリーミングサーバを完全に PeerCast に置き換えてしまうことも可能になるでしょう。 -- HendrikMans (c) 2002-2006 peercast.org
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